ミラクルブサイク変身物語 ~沖縄ヒッチハイクシリーズ~
『沖縄ヒッチハイク11』
鹿児島のターミナル入り口付近で野宿をした、その翌朝・・・
ふと目を覚ましてみると・・・巨大な物体が私を見ていた。
私は驚いて思わず叫んでしまった。
私 「おぉぉぉ!!!ちょ・ちょちょちょっと」
スタスタスタスターーーー
物体は逃げていった
その物体の正体は・・・
ビデオカメラ男だった。どうやら私は鹿児島のテレビ局に盗撮されてしまったようだ。きっとその日の夕方くらいに。。
台風接近のため、旅人、ターミナルで変死・・・なわけない(笑)
旅人、台風で足止め!!みたいに放映されたんだろう・・・(きっと・・・)
そして寝ぼけたまま、映画「ターミナル」に出てくるトム・ハンクスのように、鹿児島ターミナルのお手洗いで顔と髪を洗って入浴ならぬ、入手洗いをして、目を覚ました
それから、またテレビのニュースとにらめっこした
どうやら、本当に今日の夜、鹿児島に台風13号が上陸するようだ。
これはやばい、どこに寝泊りしたらいいんだろう・・・
すると、一人のぼろ~い格好をした兄ちゃんが私に声をかけてきた。
兄ちゃん 「お宅も足止めですか?僕もなんですよぉ~」
と気さくに話かけてきた兄ちゃんは、バイクで日本1周している面白い人だった。
兄ちゃんは私の他にも足止めをくらってしまった人数名と仲良くなっていた。
この兄ちゃんは、私を含む6名の足止め隊員の隊長として立派に活躍してくれることになるのだった。
どんどん日が暮れ、そして台風が接近するにつれて外は大雨、暴風で外に出れる状態ではなくなってきた
台風足止め隊長(さっきの兄ちゃん)と一緒に私は、ずっとターミナルのテレビの前で何もできずにただボーっとしていた。
すると、鹿児島のテレビ局の人が私に声をかけてきた。
足止めくらってたいへんですねぇ~みたいな話から、どこから来たのか?と聞かれたのでそのまんま正直 に、「石川県からトラック7台をヒッチハイクしてここまでたどり着きました。」と、話をしたのに、家出少女だと思われてしまった
やばいと察知した私は隊長に助けを求めた。
そして、隊長がテレビ局の人に話をした。
隊長 「この子ほんとに家出じゃなくって、ヒッチハイクで旅をしてるんですよ!だからお金がないみたいなんで、どこか泊れるところはないですか?」
私は内心、(おい!隊長だって金ないんだろ!)と思ったが、とりあえず、ここは大人である隊長におまかせ
すると。。。鹿児島テレビ局のアナウンサーであるという人(ほんとうにアナウンサーだったのかびみょ~な人だったなぁ~笑)が、登場してきた。
自称アナウンサー「みなさんたいへんなので、せっかく鹿児島に来てくれたんですから、私の家に泊ってください」
となんとも寛大な誘いをいただいてしまった
隊長も私も大喜び!ヤッタ~なんとか飛ばされずにすんだよぉ~
隊長、私、ライダーのおねぇ~さん、なんとか大学山岳部の学生たち3名、計6名が自称アナウンサーの親切に甘えることになった。
でも、自称アナウンサーの部屋が狭いらしく、アナウンサーの友達のおねぇ~さんの自宅に寝泊りさせてもらうことになった。
その晩は、自称アナウンサーのおごりで歓迎会を開いてくれた。
台風が来なかったら出会うことがなかった人たちばかり、出会う人、行くところすべてが新しい世界
出会うことがなかった人たちといろんなことを語った
隊長 「君!若いのにえらいよ!すごいすごい!若いときは何でもやったほうがいいんだよ!俺だって18の頃には沖縄を原付で一周したんだよ!新聞にも載ったんだぜぇ!」と自慢げに話していた。
と、なぜか他のみんなに偉いとかすごい!とか集中的に連発されてしまった。
でも、目立ちたがりな自分だったけど、目立ちたくてヒッチハイクをしたわけではない。すごいと言われたくって旅に出たわけではなかったんだ。
ただ・・・変わりたかった。
食べることしかできない自分を変えたかった。
食べないために、人を刺して鑑別行くか、自殺するか、旅に出るか!くらいの選択肢しかもう頭は回らなかったんだから・・・
歓迎会で自称アナウンサーは、仕事ぶりを披露していた。
ア ナウンサー 「ピッチャー投げました!バッター打ちました!高い高い高い!!あーーー残念ファールになってしまいました。そして、第2球目投げた!落ち た!ストライク!・・・」と誰でも言えるようなセリフを出川のてっちゃんのようなタル~い唾がつまってるような声で、真剣にまじまじとやっていた。
だから私は、この人はアナウンサーではないと判断した(笑)
自称アナウンサーは、自分が一番好きだという言葉を教えてくれた。
「Take it easy」
でも、このときは意味を教えてくれなかった。(たぶん意味は分からなかったんだと思う 笑)でも、も意味が分からなかったけど、私の心にストーーーンと入ってきた。
きっとアナウンサーは私にこういいたかったんだろう
「君の人生、気楽にやっちゃいなよぉ~深く考えんなよ!ベイベー」みたいなことを言ってくれたんだと思う。
たしかに当時の私は、あまりにも真剣すぎた。
「勉強するか!遊ぶか!」
「学校行くか!引き込もるか!」
「生きるか!死ぬか!」
完璧を追い求めすぎて、中途半端なことができなかった。
言葉の意味は分からなかったけど、私の心にしつこくからみついていた重たい鎖が1本ほどけたような気がした。
そして翌日・・・台風が過ぎ去った朝が来た
沖縄に旅立つ朝がやってきた
自称アナウンサーとそのお友達のおねぇ~さんに心からお礼のあいさつをしたとき、おねぇ~さんが私にあるモノをプレゼントしてくれた。
つづく・・・
つづきはこちら→『沖縄ヒッチハイク12』
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